胃が痛い時、病院の選択肢として「消化器内科(胃腸科)」と「一般内科」が挙げられますが、どちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。どちらの科でも胃痛の診療は可能ですが、それぞれの役割と専門性には違いがあります。その違いを理解しておくことで、自分の症状や状況に合った、より適切な選択ができます。まず、「一般内科」や「総合内科」は、体の不調に関する最初の窓口としての役割を担っています。風邪から生活習慣病まで、非常に幅広い疾患を対象としており、いわば「プライマリ・ケア」の専門家です。ストレスや暴飲暴食による一時的な急性胃炎など、比較的症状が軽く、原因がはっきりしている胃痛であれば、一般内科で十分に対応可能です。問診と診察に基づき、胃薬を処方して経過を見ることが一般的です。かかりつけの内科医であれば、あなたの普段の健康状態や服用している他の薬なども把握しているため、安心して相談できるという大きなメリットがあります。一方で、「消化器内科」や「胃腸科」は、内科の中でも特に消化器系(食道、胃、腸、肝臓、胆嚢、膵臓)の病気に特化した、より専門性の高い診療科です。胃痛の診療においては、まさに専門家中の専門家と言えます。消化器内科を受診するのが特に適しているのは、次のようなケースです。例えば、「痛みが何週間も続いている」「市販薬を飲んでも改善しない」「食事の前後など、特定のタイミングで必ず痛む」「黒い便(タール便)や吐血がある」「急激な体重減少がある」といった場合です。これらの症状は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、あるいは胃がんといった、より詳しい検査が必要な病気のサインである可能性があります。消化器内科では、このような場合に、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を迅速に行い、胃の粘膜の状態を直接観察して、正確な診断を下すことができます。また、近年、胃潰瘍や胃がんの大きな原因とされる「ピロリ菌」の検査や除菌治療も、消化器内科の専門領域です。まとめると、一時的で軽い胃痛であれば、まずは身近な「一般内科」へ。長引く痛みや危険なサインがある場合、あるいは根本的な原因を徹底的に調べたい場合は、最初から「消化器内科」を選ぶのが、的確な診断と治療への近道となるでしょう。