突然の高熱と、喉を焼かれるような激痛。大人のヘルパンギーナの初期症状は、あまりのつらさから、藁にもすがる思いで様々な対処法を試したくなるかもしれません。しかし、良かれと思って行った行為が、かえって症状を悪化させたり、回復を遅らせたりすることがあります。ここでは、ヘルパンギーナの初期段階で絶対に避けるべきNG行動をいくつかご紹介します。まず、最もやってはいけないのが「刺激物の摂取」です。喉の粘膜に無数の水疱や潰瘍ができている状態は、いわば口の中が火傷や怪我をしているのと同じです。そこに、香辛料の効いた辛いもの、レモンや酢などの酸っぱいもの、炭酸飲料、アルコール、そして熱すぎる食べ物や飲み物を流し込むのは、傷口に塩を塗り込むような行為に他なりません。激痛を誘発するだけでなく、炎症をさらに悪化させ、治癒を遅らせる原因となります。食事は、人肌程度の温度で、おかゆや豆腐、プリン、ゼリーといった、喉越しの良い、刺激のないものに限定しましょう。次に、「無理に声を出すこと」も避けるべきです。激しい咽頭痛は、声帯を含む喉全体の炎症によって引き起こされています。ここで無理に会話をしたり、仕事で電話対応をしたりすると、声帯にさらなる負担をかけ、声が嗄れる「嗄声」や、声が出なくなる「失声」を招く可能性があります。筆談やジェスチャーなどを活用し、できる限り喉を休ませることに専念してください。また、「市販のうがい薬の使いすぎ」にも注意が必要です。殺菌成分が強いヨード系のうがい薬などは、口の中の常在菌のバランスを崩したり、粘膜を刺激しすぎたりすることがあります。うがいをする場合は、刺激の少ないアズレンスルホン酸ナトリウムなどが配合されたものを選ぶか、あるいは生理食塩水や水道水で優しく行う程度に留めましょう。そして何より、自己判断で「ただの風邪」と決めつけ、安静にせずに仕事や外出を続けることは絶対に避けるべきです。十分な休養と睡眠こそが、ウイルスと戦う免疫力を高める最良の薬なのです。
ヘルパンギーナの初期に絶対にしてはいけないこと