熱はないけれど、咳だけがずっと続いている。これはただの風邪なのか、それとも何か別の病気なのか。特に、学校や職場でマイコプラズマ肺炎が流行していると聞くと、不安になる方も多いでしょう。ここでは、一般的な風邪と、熱を伴わないマイコプラズマ肺炎との見分け方のポイントをいくつかご紹介します。ただし、これらはあくまで目安であり、最終的な診断は医師が行うことを念頭に置いてください。まず、最も大きな違いは「咳の期間と性質」です。一般的な風邪の場合、咳は鼻水や喉の痛みといった他の症状と共に出始め、通常は1週間から長くても2週間程度で軽快していきます。一方、マイコプラズマ肺炎の咳は、潜伏期間が2〜3週間と比較的長く、他の風邪症状が治まった後から咳だけが始まり、それが3週間、4週間と、非常に長く続くのが特徴です。また、咳の性質も異なります。マイコプラズマ肺炎の咳は、最初はコンコンという乾いた咳(乾性咳嗽)ですが、次第に激しさを増し、夜間や早朝に発作的に起こることが多くなります。痰がほとんど絡まないのも特徴の一つです。次に、「全身の症状」にも違いが見られます。熱がない場合でも、マイコプラズマ肺炎では、なんとなく体がだるい、頭が重いといった、すっきりしない全身の倦怠感が続くことがあります。元気なようでいて、実は本人は体調の悪さを感じているケースが多いのです。さらに、「周囲の状況」も重要な手がかりとなります。マイコプラズマは、咳やくしゃみによる飛沫感染でうつるため、家族や学校のクラス、職場の同僚など、身近なコミュニティ内で、同じように長引く咳をしている人がいないかを確認してみましょう。もし、複数の人が同様の症状を訴えている場合は、マイコプラズマ肺炎の集団感染の可能性が高まります。市販の風邪薬や咳止めを飲んでも一向に効果が見られない、咳が日に日にひどくなる、といった場合も、ただの風邪ではない可能性を考えるべきです。これらのポイントに心当たりがあるなら、自己判断を続けず、呼吸器内科や小児科などの医療機関を受診し、適切な診断を受けることをお勧めします。
風邪とどう違う?熱なしマイコプラズマ肺炎の見分け方