一度治ったはずの膀胱炎が、またすぐにぶり返してしまう。年に何回も、排尿時のつらい痛みに悩まされている。このような「再発性膀胱炎」は、多くの女性にとって深刻な悩みです。なぜ、膀胱炎はこれほどまでに再発しやすいのでしょうか。その原因を知り、適切な対策をとることが、再発の負の連鎖を断ち切るための鍵となります。膀胱炎を繰り返す原因は、一つではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。まず、解剖学的な理由として、女性は男性に比べて尿道が短く、肛門と尿道口が近い位置にあるため、大腸菌などの細菌が膀胱に侵入しやすいという構造的な特徴があります。これに加えて、再発を促す生活習慣が隠れていることが少なくありません。例えば、「水分の摂取不足」は、尿の量が減り、膀胱内の細菌を洗い流す機会が失われるため、大きなリスクとなります。また、「排尿の我慢」も、膀胱内に細菌がとどまる時間を長くしてしまい、繁殖を助長します。性交渉が、細菌を尿道口から侵入させるきっかけになることも知られています。さらに、疲労やストレス、睡眠不足などで「体の抵抗力が低下」している時も、細菌に対する防御機能が弱まり、再発しやすくなります。特に、更年期以降の女性では、女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、膣の自浄作用が低下し、膀胱の粘膜も弱くなるため、より一層、再発しやすくなります。もし、あなたが年に2回以上、あるいは半年に1回以上のペースで膀胱炎を繰り返しているのであれば、それは専門的なアプローチが必要なサインです。受診すべき診療科は、やはり「泌尿器科」が最も適しています。泌尿器科では、単にその時の炎症を抑えるだけでなく、「なぜ再発するのか」という根本的な原因を探るための診察や検査を行います。排尿後の膀胱内に尿が残っていないか(残尿測定)を調べたり、膀胱や腎臓に結石などの異常がないかをチェックしたりします。そして、その結果に基づいて、水分摂取の指導や、排尿習慣の見直し、性交渉後のケアといった、個々の生活スタイルに合わせた具体的な再発予防策を提示してくれます。場合によっては、再発を予防するために、少量の抗菌薬を長期間服用する治療法が選択されることもあります。繰り返す膀胱炎は、体質だからと諦める必要はありません。専門医と共に原因を探り、正しい知識と対策を身につけることで、つらい症状から解放される道は必ず見つかります。