あれは、仕事の繁忙期で、連日疲れが溜まっていた時のことでした。ある朝、トイレに行くと、排尿の終わりにツーンとした、何とも言えない痛みを感じました。その時は「疲れているせいかな」と軽く考えていましたが、日中もトイレに行くたびに同じ痛みが走り、次第に残尿感も出てきました。「これは、もしかして膀胱炎かもしれない」。そう思い至りましたが、同時に、おりものが少し黄色っぽく、量も増えていることに気づきました。普段とは違う、デリケートゾーンの不快感。膀胱炎の症状だけでなく、婦人科系のトラブルも一緒に起きているような気がして、私は泌尿器科ではなく、「婦人科」を受診することに決めました。かかりつけの婦人科クリニックで、排尿時の痛みとおりものの異常について話すと、医師はまず尿検査と、おりものを採取して調べる検査の両方を行ってくれました。診察の結果、やはり膀胱炎を起こしていることが分かりましたが、同時に、おりものの検査からは、細菌性膣症という、膣内の善玉菌が減って悪玉菌が増えてしまう状態になっていることも判明しました。医師の説明によると、疲れやストレスで体の抵抗力が落ちると、膣内の常在菌のバランスが崩れ、それが尿道から膀胱へと侵入して膀胱炎を引き起こすことは、女性には非常によくあるケースなのだそうです。もし私が泌尿器科だけを受診していたら、膀胱炎の治療はできても、膣内の環境の乱れは見過ごされていたかもしれません。婦人科を選んだおかげで、膀胱炎に対する抗菌薬と、膣内の環境を整えるための膣錠の両方を処方してもらうことができ、二つのトラブルを同時に、そして根本的に治療することができました。また、診察の際に、生理周期の乱れなど、他の女性特有の悩みについても気軽に相談できたことも、婦人科を選んで良かったと感じた点です。この経験を通じて、女性の体は、様々な器官が密接に関わり合っていることを改めて実感しました。特に、泌尿器と生殖器のトラブルは、切り離して考えずに、トータルで診てもらう視点が大切だと学んだ出来事でした。