子供が熱もなく元気そうにしていると、多少咳をしていても「大丈夫だろう」と見過ごしてしまいがちです。しかし、その咳がマイコプラズマ肺炎によるものだった場合、親が気づかずにいると、症状を長引かせたり、集団生活の中で感染を広げてしまったりする可能性があります。子供の熱なしマイコプラズマ肺炎において、保護者が知っておくべき注意点はいくつかあります。まず、最も大切なのは「咳の観察」です。いつもの風邪の咳とは違う、しつこい咳が2週間以上続いていないでしょうか。特に、夜間や早朝に、顔を真っ赤にして激しく咳き込む、一度咳が出始めると止まらない、といった特徴が見られたら要注意です。また、熱がなくても、なんとなく元気がない、食欲が落ちている、機嫌が悪いといった、普段との様子の違いにも気を配りましょう。これらのサインに気づいたら、早めに小児科を受診することが重要です。次に、診断後の「家庭でのケア」です。医師から処方された抗菌薬は、必ず指示された日数通りに最後まで飲ませてください。症状が少し良くなったからといって自己判断で中断してしまうと、菌が完全に死滅せずに再発したり、耐性菌を生み出す原因になったりします。咳がひどい時は、水分をこまめに与え、喉の乾燥を防いであげましょう。部屋の湿度を適切に保つことも効果的です。また、体力を消耗させるような激しい運動は避け、ゆっくりと休ませてあげてください。そして、忘れてはならないのが「感染対策」です。マイコプラズマ肺炎は、主に咳やくしゃみの飛沫によって感染します。登園・登校については、医師の指示に従う必要があります。一般的には、激しい咳が治まり、全身状態が良くなるまでは、お休みするのが望ましいとされています。家庭内でも、兄弟や他の家族にうつさないよう、咳エチケット(マスクの着用)を徹底したり、タオルや食器の共用を避けたりといった配慮が必要です。子供は自分の症状をうまく言葉で表現できません。日頃からお子様の様子を注意深く見守り、小さな変化を見逃さないことが、病気の早期発見と適切なケアに繋がるのです。