原因不明の頭痛やめまいが続いている。胃がキリキリと痛み、食欲もない。動悸や息苦しさを感じることもある。内科や脳神経外科で様々な検査を受けても、「特に異常はありませんね」「ストレスが原因かもしれません」と言われるばかり。そんな、はっきりしない体の不調に、長期間悩まされている方はいませんか。その体の症状は、もしかしたら、あなたの心が発しているSOSサインかもしれません。このような場合、頼りになるのが「心療内科」です。心療内科は、精神的なストレスや心理的な要因が、身体的な症状として現れる「心身症」を専門的に扱う診療科です。私たちの心と体は、自律神経やホルモンなどを介して、常に密接に連携しています。強いストレスや、抑圧された感情は、この連携を乱し、体の様々な部分に不調を引き起こすのです。例えば、胃酸の分泌が過剰になって胃が痛んだり(神経性胃炎)、腸が過敏に反応して下痢や便秘を繰り返したり(過敏性腸症候群)、あるいは、血管や筋肉が緊張して頭痛や肩こりを引き起こしたりします。これらの症状は、実際に体に起きている「本物の」不調です。しかし、その根本原因は、胃や腸、筋肉そのものではなく、背景にある「心の問題」にあるため、体の検査だけでは異常が見つからないことが多いのです。心療内科では、まず、あなたの身体的な症状について、詳しく話を聞いてくれます。そして、その症状がいつから、どのような状況で起こるのか、最近、何か大きなストレスはなかったか、といった心理的な側面にも丁寧に目を向け、心と体の両面から原因を探っていきます。治療は、症状を和らげるための薬(胃薬や頭痛薬など)を処方することもありますが、それと同時に、ストレスを軽減するためのカウンセリングや、自律神経のバランスを整えるためのリラクゼーション法、あるいは、必要に応じて抗不安薬や抗うつ薬といった、心に働きかける薬を用いることもあります。原因不明の体の不調は、決して「気のせい」ではありません。それは、あなたの心が、体を通して助けを求めているサインなのです。一度、心療内科の扉を叩いてみる勇気が、長年の悩みからの解放に繋がるかもしれません。
体の不調が続くなら心療内科も選択肢