私はずっと、自分は水疱瘡を経験済みだと思い込んでいました。母親から「小さい頃に流行ったから、あなたもかかったはずよ」と聞かされていたからです。しかし、三十代半ばの夏、その過信が大きな間違いであったことを思い知らされることになりました。きっかけは、近所に住む甥っ子が水疱瘡になったことでした。お見舞いに行った際、私は自分には免疫があるから大丈夫だと高を括っていたのですが、それからちょうど二週間後、私の体に異変が起きました。最初は少し体がだるい程度で、夏風邪の引き始めだろうと軽く考えていたのですが、翌朝に熱を測るといきなり三十九度を超えていました。そして鏡を見た瞬間、私は自分の顔に数個の赤い湿疹ができているのに気づきました。その湿疹は瞬く間に全身へと広がり、夕方にはお腹や背中、さらには頭皮や口の中にまで、中心が水ぶくれになった不気味な発疹がびっしりと現れたのです。激しい痒みと、焼けるような熱さ。大人の水疱瘡がこれほどまでに辛いものだとは想像もしていませんでした。病院へ駆け込むと、医師からは「大人の初感染は重症化するから、すぐに入院を検討すべきレベルです」と告げられました。結局、自宅での厳重な隔離生活となりましたが、あの日々はまさに地獄でした。熱は五日間も下がらず、喉の奥の水疱が潰れて水を飲むことさえ激痛を伴いました。痒みで夜も眠れず、無意識に掻き壊してしまわないよう、保冷剤で全身を冷やしながら耐え抜くしかありませんでした。最もショックだったのは、完治した後に鏡を見たときです。顔の数箇所に、クレーターのような深い跡が残ってしまいました。医師に「事前に抗体検査を受けて、ワクチンを打っておけば、こんなことにはならなかったのに」と言われたとき、私は自分の無知を激しく後悔しました。親の曖昧な記憶に頼るのではなく、自分で自分の免疫を確認しておくべきだったのです。水疱瘡は子供の病気だという先入観は捨てなければなりません。大人がかかれば人生を数週間停止させ、一生消えない傷跡を残すほどの破壊力を持っています。もし、あなたが自分の水疱瘡の履歴に少しでも確信が持てないのなら、今すぐにでも抗体検査を受けてください。あの壮絶な苦痛を経験するくらいなら、検査の手間やワクチンの費用など、微々たるものです。私のような後悔を他の誰にもしてほしくない、その一心でこの記録を綴っています。