唇の周りや性器、あるいは体の片側に、ピリピリとした痛みを伴う赤い発疹や小さな水ぶくれができた。このような症状が現れた時、多くの人が「これはヘルペスかもしれない」と考えるでしょう。そして次に直面するのが、「一体、何科の病院へ行けば良いのだろう」という疑問です。ヘルペスは、その症状が現れた体の部位によって、受診すべき診療科が異なります。この最初の選択を間違えると、適切な治療を受けるまでに時間がかかってしまう可能性があるため、正しい知識を持っておくことが重要です。まず、最も一般的な口唇ヘルペス(唇の周りにできるもの)や、腕や胴体などにできた場合は、「皮膚科」が第一選択となります。皮膚科は、皮膚に現れるあらゆる症状の専門家です。ヘルペス特有の発疹や水ぶくれを視診で確認し、多くの場合、迅速に診断を下すことができます。必要に応じて、水ぶくれの内容物や病変部をこすって採取し、ウイルスを証明する検査を行うこともあります。次に、性器の周辺に症状が出た「性器ヘルペス」の場合は、「泌尿器科」(男性の場合)または「婦人科(産婦人科)」(女性の場合)が専門となります。これらの科は、性感染症としての側面を持つ性器ヘルペスの診断・治療に精通しており、パートナーへの感染予防に関する指導や、再発を繰り返す場合の抑制療法など、より専門的なケアを提供してくれます。もちろん、皮膚科でも性器ヘルペスの診療は可能ですが、他の性感染症の検査などを併せて行えるという点では、泌尿器科や婦人科にメリットがあります。そして、特に注意が必要なのが、体の片側の神経に沿って帯状に発疹や水ぶくれが出る「帯状疱疹」です。これもヘルペスウイルスの一種が原因ですが、強い神経痛を伴うことが多く、後遺症を残さないためには早期の治療が不可欠です。この場合も、まずは「皮膚科」を受診するのが一般的です。どのタイプのヘルペスであっても、最も大切なのは「できるだけ早く治療を開始する」ことです。抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑える薬であり、症状が出始めてから72時間以内に服用を開始するのが最も効果的とされています。症状に気づいたら、迷わず適切な専門医のいる診療科を受診しましょう。
痛い水ぶくれ、ヘルペスは何科へ行くべき?