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  • 子供のヘルペス、何科に連れて行くべき?

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    子供の体に、痛々しい水ぶくれができてしまった時、親としては心配でたまらないものです。子供に多いヘルペスウイルス感染症には、口の中に多数の口内炎ができる「ヘルペス性歯肉口内炎」や、アトピー性皮膚炎の湿疹部分にヘルペスが感染してしまう「カポジ水痘様発疹症」、そして水ぼうそう(水痘)などがあります。これらの症状を疑った場合、親がまず子供を連れて行くべき診療科は「小児科」です。小児科は、子供の病気全般を診る専門家であり、子供に特有の感染症の診断と治療に最も精通しています。特に、ヘルペス性歯肉口内炎は、高熱と共に、歯ぐきの腫れや出血、口の中や唇に多数の痛みを伴う水ぶくれ・口内炎ができるのが特徴です。強い痛みのため、子供は食事や水分を摂ることを嫌がり、脱水症状に陥りやすいという危険性があります。小児科医は、こうした全身状態を注意深く観察し、必要であれば点滴による水分補給を行うなど、的確な管理をしてくれます。また、カポジ水痘様発疹症は、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している場所に、単純ヘルペスウイルスが感染して起こります。小さな水ぶくれが広範囲に多発し、発熱を伴うことも多く、重症化すると入院治療が必要になることもあります。小児科医は、皮膚科的な知識も持ち合わせており、アトピー性皮膚炎の管理とヘルペスの治療を並行して進めることができます。もちろん、水ぼうそう(水痘・帯状疱疹ウイルスによる初感染)も、小治癒する病気ですが、合併症のリスクなどを考慮し、小児科で診断・治療を受けるのが基本です。もし、症状が皮膚に限局しており、全身状態が良い場合は、皮膚科を受診するという選択肢もあります。皮膚科は皮膚症状の専門家であり、診断は確実です。しかし、高熱がある、ぐったりしている、水分が摂れないなど、全身の症状が心配な場合は、まずは子供の総合医である小児科を受診するのが最も安心です。かかりつけの小児科医であれば、子供の普段の状態も把握しているため、よりスムーズな対応が期待できるでしょう。

  • 風邪とどう違う?熱なしマイコプラズマ肺炎の見分け方

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    熱はないけれど、咳だけがずっと続いている。これはただの風邪なのか、それとも何か別の病気なのか。特に、学校や職場でマイコプラズマ肺炎が流行していると聞くと、不安になる方も多いでしょう。ここでは、一般的な風邪と、熱を伴わないマイコプラズマ肺炎との見分け方のポイントをいくつかご紹介します。ただし、これらはあくまで目安であり、最終的な診断は医師が行うことを念頭に置いてください。まず、最も大きな違いは「咳の期間と性質」です。一般的な風邪の場合、咳は鼻水や喉の痛みといった他の症状と共に出始め、通常は1週間から長くても2週間程度で軽快していきます。一方、マイコプラズマ肺炎の咳は、潜伏期間が2〜3週間と比較的長く、他の風邪症状が治まった後から咳だけが始まり、それが3週間、4週間と、非常に長く続くのが特徴です。また、咳の性質も異なります。マイコプラズマ肺炎の咳は、最初はコンコンという乾いた咳(乾性咳嗽)ですが、次第に激しさを増し、夜間や早朝に発作的に起こることが多くなります。痰がほとんど絡まないのも特徴の一つです。次に、「全身の症状」にも違いが見られます。熱がない場合でも、マイコプラズマ肺炎では、なんとなく体がだるい、頭が重いといった、すっきりしない全身の倦怠感が続くことがあります。元気なようでいて、実は本人は体調の悪さを感じているケースが多いのです。さらに、「周囲の状況」も重要な手がかりとなります。マイコプラズマは、咳やくしゃみによる飛沫感染でうつるため、家族や学校のクラス、職場の同僚など、身近なコミュニティ内で、同じように長引く咳をしている人がいないかを確認してみましょう。もし、複数の人が同様の症状を訴えている場合は、マイコプラズマ肺炎の集団感染の可能性が高まります。市販の風邪薬や咳止めを飲んでも一向に効果が見られない、咳が日に日にひどくなる、といった場合も、ただの風邪ではない可能性を考えるべきです。これらのポイントに心当たりがあるなら、自己判断を続けず、呼吸器内科や小児科などの医療機関を受診し、適切な診断を受けることをお勧めします。

  • 高血圧は循環器内科へ、その理由

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    高血圧は、日本で最も患者数が多い生活習慣病の一つであり、「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」とも呼ばれています。なぜなら、自覚症状がほとんどないままに、静かに血管を傷つけ、やがて心筋梗塞や脳卒中といった、命に関わる重大な病気を引き起こすからです。健康診断などで高血圧を指摘された場合、多くの人はかかりつけの内科を受診するかもしれませんが、より専門的な管理や治療を考えるなら、「循環器内科」を受診することが非常に重要です。その理由は、高血圧が、心臓や血管の病気に直結する、循環器疾患の最大の危険因子であるからです。循環器内科は、単に血圧を下げる薬を処方するだけではありません。高血圧が、心臓や血管にどの程度ダメージを与えているかを評価し、将来起こりうる合併症を予防するという、より長期的で専門的な視点から治療を行います。例えば、心電図検査で心臓に負担がかかっていないか(心肥大)、心エコー検査で心臓の動きや壁の厚さに異常はないか、頸動脈エコー検査で動脈硬化がどのくらい進んでいるか、といったことを定期的にチェックします。これらの検査結果に基づいて、個々の患者さんの状態に合わせた、最適な降圧薬を選択します。降圧薬には、血管を広げる薬、心臓の働きを少し抑える薬、余分な塩分と水分を排出する薬など、様々な種類があり、その人の年齢や合併症の有無によって、使い分ける必要があるのです。また、高血圧の患者さんの中には、他の降圧薬が効きにくい「治療抵抗性高血圧」や、腎臓の血管の異常、あるいはホルモンの異常など、特殊な原因によって引き起こされる「二次性高血圧」の方が隠れていることがあります。循環器内科では、こうした特殊な高血圧の診断と治療にも対応しています。高血圧の治療の目標は、単に血圧の数値を下げることではありません。その先にある、心筋梗索や脳卒中といった、人生を大きく左右する病気を未然に防ぐことこそが、真のゴールです。そのためには、心臓と血管の専門家である循環器内科医をパートナーとし、二人三脚で継続的な管理を行っていくことが、最も賢明で確実な選択と言えるでしょう。

  • 消化器内科と一般内科、胃痛で選ぶなら

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    胃が痛い時、病院の選択肢として「消化器内科(胃腸科)」と「一般内科」が挙げられますが、どちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。どちらの科でも胃痛の診療は可能ですが、それぞれの役割と専門性には違いがあります。その違いを理解しておくことで、自分の症状や状況に合った、より適切な選択ができます。まず、「一般内科」や「総合内科」は、体の不調に関する最初の窓口としての役割を担っています。風邪から生活習慣病まで、非常に幅広い疾患を対象としており、いわば「プライマリ・ケア」の専門家です。ストレスや暴飲暴食による一時的な急性胃炎など、比較的症状が軽く、原因がはっきりしている胃痛であれば、一般内科で十分に対応可能です。問診と診察に基づき、胃薬を処方して経過を見ることが一般的です。かかりつけの内科医であれば、あなたの普段の健康状態や服用している他の薬なども把握しているため、安心して相談できるという大きなメリットがあります。一方で、「消化器内科」や「胃腸科」は、内科の中でも特に消化器系(食道、胃、腸、肝臓、胆嚢、膵臓)の病気に特化した、より専門性の高い診療科です。胃痛の診療においては、まさに専門家中の専門家と言えます。消化器内科を受診するのが特に適しているのは、次のようなケースです。例えば、「痛みが何週間も続いている」「市販薬を飲んでも改善しない」「食事の前後など、特定のタイミングで必ず痛む」「黒い便(タール便)や吐血がある」「急激な体重減少がある」といった場合です。これらの症状は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、あるいは胃がんといった、より詳しい検査が必要な病気のサインである可能性があります。消化器内科では、このような場合に、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を迅速に行い、胃の粘膜の状態を直接観察して、正確な診断を下すことができます。また、近年、胃潰瘍や胃がんの大きな原因とされる「ピロリ菌」の検査や除菌治療も、消化器内科の専門領域です。まとめると、一時的で軽い胃痛であれば、まずは身近な「一般内科」へ。長引く痛みや危険なサインがある場合、あるいは根本的な原因を徹底的に調べたい場合は、最初から「消化器内科」を選ぶのが、的確な診断と治療への近道となるでしょう。

  • 大人の熱なしマイコプラズマ肺炎、その治療法は?

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    熱が出ないタイプのマイコプラズマ肺炎は、診断が遅れがちですが、一度診断が確定すれば、適切な治療によって症状を改善させることが可能です。その治療の基本となるのが、「抗菌薬(抗生物質)」の投与です。ただし、ここで非常に重要なのは、「どの種類の抗菌薬を選ぶか」という点です。マイコプラズマは、細菌でありながら「細胞壁」という構造を持たない、非常に特殊な性質を持っています。一般的な細菌性肺炎の治療によく用いられるペニシリン系やセフェム系といった抗菌薬は、この細胞壁を破壊することで効果を発揮するため、細胞壁のないマイコプラズマには全く効きません。そのため、マイコプラズマ肺炎の治療には、細菌の内部に入り込み、タンパク質の合成を阻害することで増殖を抑えるタイプの抗菌薬が使われます。具体的には、「マクロライド系」(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)、「テトラサイクリン系」(ミノサイクリン、ドキシサイクリンなど)、そして「ニューキノロン系」(レボフロキサシン、モキシフロキサシンなど)の三系統が有効です。第一選択薬として、まずマクロライド系の抗菌薬が処方されることが一般的です。しかし近年、このマクロライド系の薬が効かない「耐性菌」の割合が増加していることが問題となっています。特に小児では耐性菌の比率が高いとされています。マクロライド系の薬を数日間服用しても、咳などの症状が全く改善しない場合は、耐性菌の可能性を考え、テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌薬への変更が検討されます。ただし、テトラサイクリン系の薬は、8歳未満の小児では歯が黄色く着色する副作用の可能性があるため、原則として使用されません。ニューキノロン系の薬も、関節への影響が懸念されるため、小児への使用は慎重に行われます。抗菌薬による治療と並行して、つらい咳の症状を和らげるための対症療法も行われます。咳を鎮める「鎮咳薬」や、気管支を広げて呼吸を楽にする「気管支拡張薬」などが処方されることもあります。熱がない場合でも、体は病原体と戦って消耗しています。十分な休息と、適切な水分補給を心がけることも、スムーズな回復のためには不可欠です。