女性にとって、倦怠感は人生のさまざまなステージで付きまとう厄介な伴侶のようなものです。月経周期に伴う変動、産後の体調変化、そして更年期。これらの時期に感じる「何とも言えないだるさ」に直面したとき、内科へ行くべきか婦人科へ行くべきか、その境界線で立ち止まってしまう方は多いでしょう。適切な診療科を選ぶための道標をお伝えします。まず、倦怠感に加えて「月経に関連したリズム」がある場合は、迷わず婦人科を選択してください。月経前の激しいだるさやイライラはPMS(月経前症候群)の可能性がありますし、月経中に寝込んでしまうほどのだるさは過多月経による貧血や子宮内膜症の影響かもしれません。婦人科の専門医は、ホルモンの変動を血液検査で数値化し、低用量ピルや漢方薬を用いてその波を穏やかにするアプローチを得意としています。一方で、四十代後半から五十代にかけて現れる、雲の上を歩いているようなふわふわとした倦怠感や、突然ののぼせ、動悸などを伴う場合は、更年期障害の疑いがあります。この場合も第一選択は婦人科です。エストロゲンの減少が自律神経を直撃している状態ですので、ホルモン補充療法(HRT)によって劇的に倦怠感が解消されることが多々あります。では、内科を受診すべきなのはどのような時でしょうか。それは、生活のリズムとは無関係に、常に一定以上の強い倦怠感があり、特に「顔色の悪さ」や「動悸、息切れ」が顕著な場合です。女性は男性に比べて鉄分を失いやすく、潜在的な鉄欠乏性貧血の状態にある人が非常に多いのが現状です。ヘモグロビンの数値が正常でも、体内の貯蔵鉄であるフェリチンが枯渇していると、細胞の一つひとつが酸欠状態になり、激しい倦怠感を引き起こします。この「隠れ貧血」の診断と治療は一般内科で行われます。また、女性に多い自己免疫疾患の一つであるバセドウ病や橋本病といった甲状腺の病気も、最初は単なる倦怠感として現れるため、内科での血液検査によるスクリーニングが重要です。病院選びに迷ったときの究極のアドバイスとしては、もしそのだるさが「心臓や肺、胃腸の不調」を伴うなら内科、それ以外の「ホルモンや心の不安定さ」を感じるなら婦人科、という基準を持ってみてください。ただし、現代の医療では、婦人科と内科は決して切り離されたものではありません。信頼できるかかりつけ医をどちらかに持っていれば、必要に応じて適切な科へ紹介状を書いてくれます。大切なのは、女性ゆえの「いつものこと」だと我慢を美徳にしないことです。科学的な根拠に基づいたケアを受けることで、女性の人生はもっと軽やかで、輝きに満ちたものに変わるはずです。