子供が風邪を引いた際、親が最も神経を使うのが、肌に現れる発疹の正体です。小さな子供の皮膚は非常にデリケートで、ウイルス感染に伴って様々な種類の発疹が出現しますが、その中でも「蕁麻疹」なのか、それとも「ウイルス性発疹」なのかを見極めることは、その後のケアの方針を決める上で重要です。ある五歳の男児の症例を振り返ってみましょう。彼は月曜日に三十九度の発熱があり、火曜日の朝には全身に赤い発疹が広がりました。母親の観察記録によれば、発疹は一つ一つが独立した小さな点ではなく、いくつかが重なり合って大きく盛り上がっており、何よりも本人が「痛いくらいに痒い」と泣いて訴えていたことが特徴的でした。これが、ウイルス性発疹(例えば突発性発疹や麻疹、風疹など)との大きな違いです。ウイルス性発疹の多くは、痒みがそれほど強くないか、あっても軽度であり、一度出ると数日間はその場所に留まり、徐々に色が薄くなっていきます。これに対し、男児に見られたのは典型的な蕁麻疹の動きでした。お昼過ぎに確認したときにはお腹にあった腫れが、夕方には消えてしまい、代わりに足の付け根に新しい腫れが出現していたのです。このように「場所を移動する」「数時間で跡形もなく消える」という性質がある場合、それは感染によって過敏になった神経と毛細血管が引き起こしている蕁麻疹であると判断できます。子供の場合、風邪のウイルスそのものが抗原となるだけでなく、発熱による脱水や、食欲不振による栄養バランスの乱れが皮膚のバリア機能を著しく低下させ、普段は平気な衣類の摩擦や汗の刺激に対しても蕁麻疹を誘発させることがあります。この男児のケースでは、小児科で処方された抗ヒスタミン薬のシロップを服用し、部屋の湿度を適切に保ちながら、肌を清潔にするためにぬるめのシャワーで済ませるなどの対応を取りました。数日後、熱が下がると同時に、あの激しかった痒みも嘘のように収まりました。親ができる最良の観察は、発疹が出ている場所をスマートフォンのカメラで時間をおいて数回撮影しておくことです。診察室で医師に見せる際、言葉で説明するよりも「朝はここにあって、今は消えた」という視覚的な証拠があることで、診断の精度は劇的に上がります。子供の病気は、熱だけでなく肌の状態にもそのドラマが反映されます。一つ一つの症状を冷静に記録し、医師との対話に活かすことが、子供の健やかな快復を支える鍵となります。
子供のウイルス性発疹と蕁麻疹を見極めるための観察記録