冬から春にかけて猛威を振るうノロウイルスは、その感染力の強さと急激に現れる症状から、罹患した本人はもちろん家族にとっても非常に恐ろしい病気です。突然の激しい吐き気、何度も繰り返す嘔吐、そして水のような下痢。これらの症状に見舞われた際、私たちは一体何科を受診すべきなのでしょうか。まず成人の場合、最も一般的な受診先は一般内科、あるいは消化器内科となります。ノロウイルスはウイルス性の急性胃腸炎の一種であるため、消化器系を専門とする医師がいるクリニックが最も適しています。内科であれば、全身の状態をチェックしながら脱水症状の有無を確認し、症状を和らげるための対症療法を提案してくれます。消化器内科であれば、より詳しく腸の動きや腹部の状態を診察してもらえる安心感があります。一方で、乳幼児や小学生以下の子供がノロウイルスを疑う症状を呈した場合は、迷わず小児科を受診してください。子供は大人に比べて体内の水分量が少なく、短時間の嘔吐や下痢でも急激に脱水症状が進行し、重症化するリスクが高いからです。小児科医は子供特有の体調変化を熟知しており、点滴の必要性や家庭でのケアについて、年齢に合わせた的確なアドバイスを授けてくれます。受診の際に知っておきたいのは、ノロウイルスにはインフルエンザのような特効薬が存在しないという点です。病院へ行く主な目的は、原因を特定すること以上に、全身管理を行い、二次感染を防ぐための知識を得ることにあります。現在、多くの医療機関では迅速検査キットが用意されていますが、健康な成人の場合は保険適用外、つまり自費診療になることが多い点に注意が必要です。一方で、三歳未満の乳幼児や六十五歳以上の高齢者、あるいは抗がん剤治療中などで免疫力が著しく低下している方については、公的な保険で検査を受けることが可能です。もし、症状がそれほど重くなく、自宅で水分が少しずつでも摂れているのであれば、無理をして外出せず安静にすることも一つの選択肢です。しかし、尿が出ない、意識がぼんやりする、唇が乾燥しきっているといった脱水のサインが見られる場合は、夜間であっても救急外来や休日当番医を受診すべきです。病院へ向かう際は、公共交通機関を避けてタクシーや自家用車を利用し、万が一の嘔吐に備えてビニール袋を用意しましょう。また、病院の受付では「ノロウイルスの可能性がある」と事前に伝えることが、他の患者への感染拡大を防ぐための重要なマナーとなります。自分の症状が何科の範疇なのかを正しく理解し、冷静に行動することが、この苦しい胃腸炎を乗り越えるための最初のステップとなります。
激しい嘔吐と下痢に襲われた時のノロウイルス受診先ガイド