会社の健康診断や人間ドックで、心電図検査の結果に「要精密検査」や「要経過観察」といった判定が書かれていると、たとえ自覚症状がなくても、急に不安になるものです。「何か心臓に悪い病気があるのだろうか」「どの病院の何科へ行けば良いのか」。そんな時、精密検査のために受診すべき診療科は「循環器内科」です。循環器内科は、心臓と血管の病気の専門家であり、心電図の異常を詳しく解読し、それが治療を必要とするものなのか、あるいは心配のないものなのかを正確に判断してくれます。健康診断で指摘される心電図の異常所見には、様々な種類があります。例えば、「期外収縮」は、本来のリズムから外れたタイミングで心臓が拍動するもので、最も頻繁に見られる不整脈の一つです。多くは無症状で、治療の必要がない良性のものですが、頻度が多い場合や、心臓に他の病気がある場合には、注意深い経過観察や治療が必要になることもあります。また、「右脚ブロック」や「左脚ブロック」は、心臓の電気信号を伝える回路(脚)に伝導の遅れがある状態を示します。これも、心臓に他の病気がなければ、特に問題とならないことが多い所見です。一方で、「ST-T異常」や「異常Q波」といった所見は、心臓の筋肉に血液が十分に供給されていない状態(虚血)や、過去に心筋梗塞を起こした痕跡を示唆している可能性があり、より詳しい検査が必要となります。循環器内科では、まず健康診断の結果を詳しく確認し、再度、安静時の心電図検査を行います。そして、必要に応じて、24時間心電図を記録する「ホルター心電図検査」や、心臓の動きや大きさを超音波で観察する「心エコー検査」、運動によって心臓に負荷をかけて心電図の変化を見る「運動負荷心電図検査」といった、より専門的な検査を組み合わせて、異常の原因を突き止めていきます。健康診断での心電図異常は、自覚症状のない心臓病を早期に発見するための重要なきっかけです。決して放置せず、専門家である循環器内科医の診察を受け、自分の心臓の状態を正しく把握しておくことが、将来の健康を守る上で何よりも大切です。
健康診断で心電図異常、何科に行けばいい?