三食きちんと食べているし、お腹もいっぱい。体重も標準か、むしろ多いくらい。それなのに、ふくらはぎはいつもパンパンにむくんでいる、夜中に突然こむら返りで目が覚める、ちょっと歩いただけですぐにだるくなる。こうした矛盾した状態の背景には、「新型栄養失調」という、現代的な食生活がもたらす深刻な問題が潜んでいます。私たちのふくらはぎが、カロリーは足りているにもかかわらず悲鳴を上げるのには、明確な理由があります。その最大の原因は、「食事の質」の低下です。現代の食生活は、手軽で美味しい加工食品やインスタント食品、ファストフードで溢れています。これらの食事は、糖質や脂質が多く、高カロリーなものがほとんどです。そのため、総摂取カロリーは簡単に満たすことができます。しかし、その一方で、筋肉や血液の材料となる「タンパク質」、体の調子を整える「ビタミン」、そして筋肉や神経の働きを正常に保つ「ミネラル」といった、微量ながらも生命維持に不可欠な栄養素が、精製の過程でごっそりと抜け落ちてしまっていることが多いのです。ふくらはぎは、筋肉の塊です。筋肉を維持・修復するためには、絶えず新しいタンパク質を補給する必要があります。しかし、タンパク質の摂取量が不足すると、体は既存の筋肉を分解してアミノ酸を調達しようとします。その結果、ふくらはぎの筋肉量が減少し、血液を心臓に送り返すポンプ機能が低下。これが、むくみや冷えの直接的な原因となります。また、夜中のこむら返りに悩む人は、マグネシウム不足が考えられます。マグネシウムは、筋肉の過剰な収縮を抑える働きがありますが、現代の食事では不足しがちなミネラルの一つです。さらに、ビタミンB1が不足すると、糖質をエネルギーに変える過程が滞り、疲労物質である乳酸が溜まりやすくなります。これが、ふくらはぎのだるさや重さとなって現れるのです。つまり、ふくらはぎの不調は、「カロリーの量」ではなく「栄養の質」が問われている証拠。お腹を満たすだけの食事から、体を構成し、機能させるための栄養素を意識した食事へと、発想を転換する必要があるのです。