先月の半ば、私は今までに経験したことのない奇妙な体調不良に見舞われました。始まりは、喉の軽い痛みと微熱でした。季節の変わり目によくある風邪だろうと軽く考え、自宅にあった常備薬を飲んで早めに就寝したのですが、問題が起きたのはその翌朝のことです。目が覚めると、熱は三十八度五分まで上がっており、それ以上に私を驚かせたのは、自分の腕や太ももに広がっていた、無数の赤い盛り上がりでした。それは蚊に刺されたような跡がいくつも繋がったような、不気味な地図状の腫れで、猛烈な痒みを伴っていました。鏡を見ると、顔の周りや首筋にもその赤い斑点は広がっており、私は恐怖で心臓が激しく波打つのを感じました。「何か変なものを食べたのか」「それとも、昨夜飲んだ風邪薬が合わなかったのか」と頭の中で様々な可能性が駆け巡りました。痒みは時間の経過とともに場所を変え、一時間前には腕にあった腫れが消えたかと思うと、今度は背中やお腹がボコボコと腫れ上がるという、まさに神出鬼没な動きを見せました。これが噂に聞く蕁麻疹なのだと直感しましたが、風邪の熱と重なったことで、私は自分の体の中で何が起きているのか分からず、ただならぬ不安に襲われました。這うような思いで近所の皮膚科を受診すると、医師は私の肌を一目見るなり「これは風邪のウイルスに対する体の反応ですね」と落ち着いた声で言いました。先生の説明によれば、ウイルス感染によって免疫系が過剰に興奮しているとき、皮膚の血管が過敏になり、このような蕁麻疹が出ることがよくあるのだそうです。薬の副作用、いわゆる薬疹の可能性についても詳しく診察してもらいましたが、私の場合は発疹の形状が典型的な蕁麻疹の特徴である「跡を残さず消えては出る」を繰り返していたため、ウイルスが引き金となった非アレルギー性の蕁麻疹である可能性が高いとのことでした。診察後、点滴を受けて痒みを抑える薬を処方されると、夕方にはあの大騒ぎが嘘のように肌が静まり、痒みから解放されたことでようやく深い眠りにつくことができました。風邪が治るまでの数日間、熱が上がるたびに少しだけポツポツと赤いのが出ることはありましたが、医師から「体が頑張って戦っているサインだから大丈夫ですよ」と言われていたおかげで、二度目は冷静に対処できました。この体験を通して痛感したのは、風邪という病気は単に咳や鼻水が出るだけのものではないということです。私たちの体は目に見えないミクロの戦場で、全身全霊をかけてウイルスを排除しようとしており、その副産物が皮膚に現れることもあるのです。自分の体を過信せず、異変を感じたら専門家の診断を仰ぐことが、いかに精神的な安寧をもたらすかを身をもって学びました。今では、あの時の赤い腫れは私の体が発した力強いSOSだったのだと、愛おしくさえ感じています。