膀胱炎は、多くの女性が経験するありふれた病気ですが、その症状を我慢したり、自己判断で対処したりしていると、思わぬ重篤な事態を招くことがあります。特に、以下に挙げるような症状が見られる場合は、単なる膀G光炎ではない可能性や、症状が悪化しているサインと考え、できるだけ早く医療機関を受診する必要があります。まず、最も注意すべきなのが「高熱」と「背中や腰の痛み」です。膀胱炎は、通常、発熱を伴うことは稀です。もし、38度以上の高熱が出たり、片側の背中や腰に鈍い痛みや、叩くと響くような痛みを感じたりした場合は、膀胱の細菌が尿管を逆流して、腎臓にまで感染が及んでしまった「腎盂腎炎(じんうじんえん)」を強く疑います。腎盂腎炎は、悪化すると敗血症という命に関わる状態に進行することもある、入院治療が必要な重い病気です。寒気や震え、吐き気などを伴う場合は、特に緊急性が高いため、夜間や休日であっても救急外来を受診することを検討してください。次に、「血尿」も重要なサインです。膀胱炎でも、炎症が強くなると尿に血が混じることがありますが、もし、肉眼でもはっきりとわかるほどの血尿(尿が真っ赤になる、血の塊が出るなど)が見られた場合は、注意が必要です。膀胱がんや腎臓結石といった、他の病気が隠れている可能性も否定できません。特に、痛みなどの症状がなく、血尿だけが出る場合は、より精密な検査が必要となります。また、「抗菌薬を飲んでも症状が改善しない」場合も、受診が必要です。通常、膀胱炎は適切な抗菌薬を服用すれば、2〜3日で症状は劇的に改善します。もし、処方された薬をきちんと飲んでいるのに、一向に症状が良くならない、あるいは悪化するという場合は、原因菌がその薬に対して耐性を持っている(薬が効かない)可能性があります。このままでは治癒が遅れるだけでなく、前述の腎盂腎炎へと移行するリスクも高まります。医師に相談し、別の種類の抗菌薬に変更してもらう必要があります。これらの症状は、体が発している危険信号です。いつもの膀胱炎と軽く考えず、異常を感じたら速やかに専門医の診察を受けることが、自分自身の体を守るための最も大切な行動です。