胸にクモのような赤い斑点ができた、手のひらが妙に赤い、ぶつけた覚えのないあざが増えた。これらの皮膚の症状が、もしかしたら肝臓の不調のサインかもしれない、と気づいた時、多くの人が次に悩むのが「一体、何科の病院へ行けば良いのか」という問題です。症状が現れているのは皮膚なのだから、まずは皮膚科へ行くべきか。それとも、原因が疑われる肝臓の専門家である内科へ行くべきか。これは非常に重要な選択であり、適切な診療科を選ぶことが、スムーズな診断と治療への第一歩となります。結論から言うと、肝臓の病気が原因である可能性を少しでも考えているのであれば、最初から「消化器内科」あるいは「肝臓内科」といった、肝臓を専門とする診療科を受診するのが、最も確実で効率的な選択です。これらの診療科では、医師がまず、あなたの皮膚症状を詳しく観察し、それが肝臓疾患に特徴的なもの(クモ状血管腫や手掌紅斑など)であるかを判断します。そして、問診で飲酒歴や既往歴、自覚症状などを詳しく聞き取った上で、血液検査や腹部の超音波(エコー)検査などを行い、肝臓の状態を直接的、かつ総合的に評価します。血液検査では、AST(GOT)やALT(GPT)、γ-GTPといった肝機能の指標となる数値を測定し、肝臓に炎症やダメージがないかを確認します。超音波検査では、肝臓の形や大きさ、脂肪肝の有無、あるいは肝硬変や肝臓がんの兆候がないかを、画像で詳細に調べることができます。このように、肝臓の専門科では、皮膚のサインから、その根本原因である肝臓の病気までを、一貫して診断し、治療へと繋げることができるのです。もちろん、最初に「皮膚科」を受診することも、決して間違いではありません。経験豊富な皮膚科医であれば、あなたの皮膚症状を見て、肝臓の病気を疑い、適切な内科へ紹介してくれます。しかし、もしあなたが、健康診断で肝機能の異常を指摘されたことがある、あるいはお酒を飲む習慣があるなど、肝臓に不安を抱えているのであれば、遠回りをせず、初めから消化器内科・肝臓内科の扉を叩くことをお勧めします。