私の恋人、拓也は、IT企業に勤める32歳。仕事はハードで、帰宅はいつも深夜。彼の食生活は、お世辞にも健康的とは言えませんでした。朝は菓子パン、昼はデスクでカップラーメン、夜はコンビニ弁当か、疲れ果てて食事を抜くこともしばしば。そんな生活が続いたある日のこと、彼が「最近、夜中に足がつって目が覚めるんだ」と、つらそうにこぼしました。ふくらはぎを触らせてもらうと、ひんやりと冷たく、パンパンにむくんでいます。「運動不足じゃないの?」と、私は最初は軽く考えていました。しかし、彼の不調はそれだけではありませんでした。口内炎が頻繁にでき、風邪をひきやすくなり、何より、休日も「だるい」と言って、一日中寝て過ごすことが増えたのです。カロリーは摂っているはずなのに、なぜこんなに不調が続くのだろう。心配になった私は、インターネットで彼の症状を調べてみました。そこで目に飛び込んできたのが、「新型栄養失調」という言葉でした。カロリーは足りていても、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足している状態。その症状として挙げられていた、こむら返り、むくみ、倦怠感、免疫力の低下。そのすべてが、拓也の状態に驚くほど当てはまっていました。私は、このままではいけないと強く感じました。彼を無理やり病院に連れて行くことも考えましたが、まずは食生活から変えてみようと決意しました。私は、できるだけ彼のために朝食と夕食を作るようにしました。朝は、卵と納豆、具だくさんの味噌汁。夜は、彼が好きな豚の生姜焼きに、ほうれん草のおひたしを添えたり、サバの塩焼きに、わかめと豆腐のサラダをつけたり。最初は「面倒くさいよ」と面倒臭がっていた彼も、私の手料理を食べるうちに、少しずつ体の変化を感じ始めたようでした。「最近、夜中に足がつらなくなったかも」「前より、朝の目覚めが良い気がする」。そんな言葉を、ポツリポツリと口にするようになったのです。彼のふくらはぎのむくみも、心なしか引いてきたように見えました。新型栄養失調は、目に見えにくい、静かなる脅威です。しかし、愛する人の小さなSOSサインに気づき、日々の食事という、最も身近な愛情でサポートすること。それが、彼の健康を取り戻す、何よりの特効薬になったのだと、私は信じています。
彼のふくらはぎの不調。それは新型栄養失調のサインだった