手足口病は子供の病気だという先入観は、職場の衛生管理における大きな死角となっています。結論から言えば、手足口病は大人から大人へも容易にうつります。たとえ家族に感染者がいなくても、満員電車やつり革、共有のオフィス機器を介してウイルスが入り込む可能性は十分にあり、特に夏場のオフィス内での集団感染リスクは無視できません。大人の職場における感染経路を分析すると、最も多いのは「接触感染」です。例えば、感染しているがまだ症状が出ていない同僚が、鼻を触った手でコピー機のボタンや共有のキーボード、ドアノブに触れる。その後に別の社員が同じ場所に触れ、そのままの手で昼食を食べたり目をこすったりすることで、ウイルスが体内に侵入します。エンテロウイルスは乾燥した環境でも一定期間生存できるため、不特定多数が触れる場所は常にリスクが伴います。また、休憩時間やランチタイムの会話を通じた「飛沫感染」も重要です。手足口病のウイルスは、発症前の一、二日から呼吸器に含まれており、密閉された会議室での長時間の議論などは、ウイルスの格好の拡散場所となります。もし職場内で「最近、お腹の風邪が流行っている」とか「喉が痛い同僚が多い」という兆候があれば、それは手足口病の潜伏期間である可能性を疑うべきです。社会人としての注意点としては、まず「無理な出社を控える」という倫理観の徹底が挙げられます。大人の場合、初期症状が熱だけであったり、喉の痛みだけであったりするため、単なる疲れだと思い込んで出社し続けてしまうことがよくあります。しかし、発疹が出る前の段階が最も感染力が強いため、周囲に菌を撒き散らすことになります。もし自分が感染したと判明した場合は、速やかに上司に報告し、医師の許可が出るまで自宅療養を行うことがプロフェッショナルとしての義務です。職場復帰にあたっては、発疹が乾燥し、熱が完全に下がっていることが目安となりますが、前述の通り便からは数週間にわたってウイルスが出るため、復帰後も一ヶ月程度はトイレ後の手洗いを人一倍丁寧に行うことが、同僚へのマナーとなります。また、企業側としても、夏場には手指消毒液を配置するだけでなく、体調不良者への休暇推奨やテレワークの活用を積極的に行うことで、組織全体のリスクマネジメントを図ることが求められます。大人が罹患すると一週間程度の欠勤を余儀なくされるため、労働生産性の低下を防ぐという意味でも、手足口病を「職場の脅威」として正しく認識し、予防に努めることが、現代のビジネスシーンにおける不可欠なリテラシーと言えるでしょう。
職場でも手足口病はうつるのか?大人の感染経路と注意点