溶連菌感染症は、一般的には子供が罹患する病気というイメージが根強くありますが、実際には大人も頻繁に感染し、時には子供以上に深刻な喉の痛みや全身症状に苦しむことがあります。この病気の正体はA群溶血性レンサ球菌という細菌による感染であり、飛沫や接触を通じて容易に人から人へと広がります。大人が感染した際に最も顕著に現れるのは、唾液を飲み込むことさえ困難になるほどの激しい喉の痛みです。通常のウイルス性の風邪であれば、鼻水や咳、くしゃみといった症状が先行することが多いのですが、溶連菌の場合はこれらの症状がほとんど見られない一方で、喉の奥が真っ赤に腫れ上がり、しばしば白い膿が付着するのが特徴です。また、三十八度を超える突然の高熱や、首のリンパ節の腫れ、頭痛、全身の倦怠感なども大人の症例ではよく見られます。こうした症状が出た際、多くの大人は「ただの喉風邪だろう」と自己判断して市販の鎮痛剤で誤魔化そうとしますが、ここに大きな落とし穴があります。溶連菌は細菌感染であるため、ウイルス性の風邪とは異なり、適切な抗生物質の服用がなければ完治せず、また周囲への感染力を維持し続けてしまうのです。さらに、大人が放置することのリスクとして、心臓の弁を傷つけるリウマチ熱や、腎臓に炎症を起こす急性糸球体腎炎といった深刻な後遺症を招く可能性があることが挙げられます。これらの合併症は喉の痛みが治まった数週間後に現れることもあるため、初期段階での完全な除菌が極めて重要になります。適切な医療機関を受診すれば、喉の粘膜を採取する迅速検査によって数分から十数分で診断がつきます。診断が確定した後は、医師から処方された抗菌薬、主にペニシリン系やセフェム系の薬剤を指示された期間、一錠も残さず飲み切ることが鉄則です。途中で喉の痛みが消えたからといって勝手に服用を中止してしまうと、体内に残った菌が耐性を持って再燃したり、前述の合併症を引き起こしたりする原因となります。家庭内での二次感染を防ぐためには、手洗いうがいの徹底はもちろんのこと、大人が使用した食器やタオルの共用を避け、周囲に高齢者や子供がいる場合は特に注意を払う必要があります。大人の溶連菌は、仕事のストレスや過労で免疫力が低下しているタイミングを狙って襲ってきます。激しい喉の痛みを感じたなら、それは体が発している緊急事態のサインであると認識し、速やかに内科や耳鼻咽喉科を受診することが、自身の健康を守り、社会的な責任を果たすための第一歩となります。
大人が溶連菌に感染した際の喉の痛みと正しい対処