それは、保育園に通う息子が喉の痛みを訴えて溶連菌と診断された数日後のことでした。最初は少し喉がいがいがする程度で、「看病の疲れかな」と軽く考えていましたが、その日の夜から状況は一変しました。深夜、何の前触れもなく激しい悪寒に襲われ、熱を測ると一気に三十九度まで跳ね上がっていたのです。それと同時に、喉の奥をナイフで掻き回されるような凄まじい痛みが始まりました。翌朝、鏡で喉を確認すると、真っ赤に腫れ上がった扁桃腺に、不気味なほど白い斑点がいくつも浮き出ていました。水を一口飲むだけでも、まるでガラスの破片を飲み込んでいるかのような苦痛で、声を発することさえままなりません。通常の風邪であれば咳や鼻水が出るはずですが、それらは一切なく、ただひたすら喉の痛みと高熱だけが私を攻め立てました。内科へ駆け込み、息子が溶連菌だったことを伝えると、すぐに喉の検査が行われ、結果は陽性。医師からは「大人がかかると、子供よりも症状が重く出ることが多いんですよ」と説明されました。処方された抗生物質を飲み始めてから、熱が下がるまでには丸二日かかりました。喉の痛みが和らぎ始め、ようやく普通の食事が摂れるようになったのは四日目くらいのことです。この闘病期間中に最も辛かったのは、体調の悪さもさることながら、仕事への影響と家族への感染拡大に対する不安でした。大人の場合、抗菌薬を飲み始めてから二十四時間以上経過すれば周囲への感染力はほぼなくなると言われていますが、それまでは完全に隔離状態を保つ必要があり、生活は一変しました。また、喉が痛すぎて食事も水分も満足に摂れないため、体力の消耗が激しく、体重も数キロ落ちてしまいました。この経験を通して学んだのは、溶連菌は決して「子供だけの軽い病気」ではないという厳しい現実です。子供の看病をしている親は、自分も同じリスクに晒されているという当事者意識を持ち、少しでも喉に違和感があれば、迷わず検査を受けるべきだと痛感しました。あの激痛は二度と経験したくありません。完治した後も、医師の指示通り十日間の服薬を最後まで完遂しましたが、それは菌を完全に体から追い出すための、自分への最後の務めのように感じられました。もし、お子さんが溶連菌にかかり、自分も喉が痛み出したという方がいたら、どうか「たかが喉の痛み」と侮らないでください。早めの受診こそが、自分を、そして周囲の人々を救う唯一の手段なのです。